_

Obscure Ride

 
 

『My Lost City』のCTCで「巻き戻しして」から逆再生がはじまり、それまでの全てが巻き戻され、わたしのすがたで目覚める。

 
今回の『Obscure Ride』は、その巻き戻しされたあと、何事もなかったかのような街で違和感を感じたまま生きる、そんな世界が舞台。『My Lost City』で展開されたパラレルワールドの終着点として砂漠に行き着く『Yellow Magus』、一曲目のC.E.R.Oはその砂漠が舞台。砂漠からのメッセージは現実世界には届かず、なんとなく不気味なものとしてそこに現れるだけ。
 
都市生活と自然とが二重化し、視点がいくつもでてくる。だけど同じフレーズなどがでてきたりもして、統一性もしっかりある。今作はR&B要素も強いけど、ポップ、ヒップホップ、ジャズ、様々な要素があるのにこんなに綺麗なバランスに創り上げられてるのが素晴らしくて泣けてくる。戻ったり、進んだり、変わったり、多層のパラレルワールドを感じる。
 
いろんな時代を、いろんな時間を、いろんな世界を旅した気分になる。
まさに時を超えるアルバム。このアルバム自体もどこまでも連れて行ける。
 
共通するワードのひとつに「約束」があるけれど、最後の曲で、夢の中だけでその約束が果たされるんだって。アルバム聴きながら、じーんとしながら、その素晴らしさにガッツポーズするそんな感じ。
 
歌詞の目線に神的なものを感じる、なんか根拠のない安心感のようなものも感じる。手放せません。